あぐり
本当に、結婚したいの? ――「出会いがない」という相談で、運命の輪・逆位置が出た話
「結婚したいんですけど、出会いがないんです」
そんなご相談がありました。
年齢的なこともある。
周囲には結婚している人も増えてきた。
できれば自分も、
良い人と出会って結婚したい。
そこでまず、
紫微斗数の命盤を見てみました。
すると、
夫妻宮には主星が入り、かなり存在感があります。
しかも、その星は、
七殺星。
七殺星は、
開拓者精神に富んだ星です。
自分の力で道を切り拓く。
決断力がある。
行動力がある。
人に依存するより、
自分で人生を動かしていく。
少しクセはあるかもしれませんが、
頼もしさのある、
エネルギッシュなお相手像が見えてきます。
私は、
「こういうタイプの方とご縁がありそうですよ」
とお伝えしました。
ところが、
相談者の反応は、
「……そうなんですか」
という感じ。
どうも、
あまりピンときていない。
そこでさらに、
命盤全体を読み進めていきました。
すると今度は、
少し違うものが見えてきました。
夫妻宮が華やかだから、結婚したいとは限らない
占いで時々みられるのは
「結婚運があること」と、
「本人が結婚を望んでいること」は別
だということです。
夫妻宮に星が入っている。
魅力的な配偶者像が出ている。
だからといって、
本人が、
「誰かと家庭を築きたい」
「生活を共有したい」
「一人より二人で生きたい」
と強く願っているとは限りません。
この方の場合、
命盤を読み進めるほど、
むしろ、
自分の世界を大切にしたい。
自分のペースを乱されたくない。
誰かと深く生活を共有することには、少し慎重になる。
そんな傾向が見えてきました。
そこで私は、
あらためて尋ねました。
「本当に結婚したいですか?」
すると、
「はい。結婚したいです」
とおっしゃる。
少し話をしてから、
もう一度確認しました。
「誰かと暮らすことも含めて、結婚したいですか?」
それでも、
「したいです」
とのこと。
なるほど。
では、
本人が口にしている『結婚したい』という願いを、
もう少し別の角度から見てみよう。
そう思って、
タロットを一枚引きました。
出たカードは、
運命の輪・逆位置。
私はこのカードを見て、
少し立ち止まりました。
運命の輪が、うまく回っていない
運命の輪は、
タイミング。
転機。
流れ。
偶然の出会い。
人生が次のステージへ動き始めること。
そんなものを表すカードです。
正位置なら、
「流れが来る」
「物事が動き出す」
「思いがけないご縁が入ってくる」
と読むことがあります。
ところが今回は、
逆位置。
歯車が、
うまく噛み合っていません。
ここで、
「だから結婚できません」
とは読みません。
むしろ今回の相談では、
本人が言っていることと、
本人のもっと深いところにある気持ちが、
まだ噛み合っていないのではないか
と感じました。
口では、
「結婚したい」
と言っている。
けれど、
心の奥では、
「本当に誰かと暮らしたいのだろうか」
「自分の自由が減るのは嫌だな」
「生活を変えてまで結婚したいのかな」
という気持ちがあるのかもしれない。
つまり、
結婚したい自分と、
今のままでいたい自分が、
同時に存在している。
そうすると、
運命の輪は回りにくくなります。
「結婚したい」の中身を、もう一度見てみる
ここで大事なのは、
「あなたは本当は結婚したくないんですよ」
と決めつけることではありません。
人の気持ちは、
そんなに単純ではありません。
結婚したい気持ちも本当。
一人でいたい気持ちも本当。
自由でいたい。
でも、
誰かと支え合いたい。
一人は気楽。
でも、
このまま一人なのも少し不安。
人間の中には、
矛盾する願いがいくつもあります。
だからこそ、
「結婚したいです」
という言葉を聞いたとき、
私はときどき、
もう一歩踏み込みたくなります。
あなたが欲しいのは、
本当に「結婚」でしょうか。
それとも、
安心でしょうか。
誰かに選ばれることでしょうか。
老後への不安をなくすことでしょうか。
周囲から遅れていないと思えることでしょうか。
「普通の人生を歩んでいる」という安心でしょうか。
あるいは、
本当に、
ある一人の人と、
面倒なことも含めて生活を共有したい
のでしょうか。
ここは、
かなり違います。
「出会いがない」の前に、見るものがある
婚活の相談では、
「どこへ行けば出会えますか?」
「いつ出会いますか?」
「アプリをやったほうがいいですか?」
という話になりやすいものです。
もちろん、
それも大切です。
出会いがなければ、
関係は始まりません。
けれど、
その前に一度だけ、
確認してみてもいいと思います。
私は、その出会いの先にある生活まで、本当に欲しいのだろうか。
結婚すれば、
自分の予定だけでは決められなくなることがあります。
相手の機嫌が悪い日もある。
生活習慣が合わないこともある。
一人なら自由に使えた時間やお金を、
二人で調整することもある。
もちろん、
一緒に食卓を囲む喜びもある。
病気のときに支え合うこともある。
一人では見られなかった景色を見ることもある。
結婚とは、
「素敵な人に出会うこと」だけではありません。
誰かを、自分の人生の現実の中へ迎え入れること
でもあります。
それを想像したとき、
胸が少し明るくなるのか。
それとも、
急に窮屈になるのか。
そこに、
自分でも知らなかった本音が隠れていることがあります。
運命の輪を回すのは、「本音を決める」ことから
今回の運命の輪・逆位置を、
私は、
「ご縁が来ない」カードとは読みませんでした。
むしろ、
「まず、自分の内側の歯車を合わせましょう」
というカードに見えました。
世間が結婚する年齢だから。
友達がみんな結婚したから。
親が心配するから。
一人でいるのが不安だから。
そうしたものを全部いったん横へ置いたとき、
それでも、
「私は誰かと人生をつくりたい」
と思うのか。
そこで「はい」が出るなら、
今度は具体的に動けばいい。
出会いの場へ行く。
人に紹介を頼む。
婚活を始める。
七殺星のような、
自分の想像を少し超えてくる相手にも、
目を向けてみる。
そうすれば、
止まっていた運命の輪が、
少しずつ回り始めるかもしれません。
反対に、
「考えてみたら、
私は結婚そのものが欲しいわけではなかった」
と気づくこともあるでしょう。
それも、
失敗ではありません。
むしろ、
誰かが決めた人生のコースから降りて、
自分の人生を選び直した
ということです。
占いは、
「あなたは結婚できます」
「できません」
と判定するだけのものではありません。
ときには、
本人が当然だと思っていた願いにまで、
静かに問いを差し込んできます。
「それ、本当にあなたが欲しいものですか?」
運命の輪が止まって見えるとき。
人生が意地悪をしているとは限りません。
もしかすると、
次へ進む前に、
自分の本音と歯車を合わせる時間が必要なのかもしれません。






