曽我部 キキョウ
それは日本語ですか? ~知らない言葉が飛び交う世界
人は集団になると、
その集団ごとにそこだけで通じる言葉を
使い始めることがあります。
単に何かを略した言葉の場合もあるし
技術的、専門的な言葉の時もあります。
仲間内では、当然のように
お互いがその言葉の示すところが分かっていて、
不自由は感じません。
けれども、ここに新しい人が入ったとき、
その新人にとっては初耳の言葉です。
例えば、テレビ業界では
「完パケ」という言葉があります。
知っている人には、
「ああ完パケね、いつ?」と自然に使えます。
ところが、知らない人にとっては
「何それ?」です。
先輩に「カンパケって何ですか?」と
尋ねる場面でしょう。
そこで先輩は答えてくれるでしょう。
「ああ、完全パッケージの略だよ」
テレビ業界に入ったばかりの新人だったとして、
この説明で分かるでしょうか。
かつて所属していた金融関係の職場では、
「事務ミス」や「事故」という言葉がありました。
簡単に言うと、重大なミスを
分類する言葉と思ってください。
けれども、今この言葉を見たみなさんは、
入社当初の私と同様、
それは何のこと?
何がどう違って、どう区別するの?
と思ったのではないでしょうか。
このようないわゆる業界用語は、
別に「今日からこの言葉を、こういう意味で使う」と
決めてから使っているわけではありません。
それだけに使っている本人たちも
事細かに説明できるかというと
そうでもなかったりします。
だから新人が聞いてきても
「こんな感じ」で説明が終わるのです。
ただ、聞いた側の新人からすれば
戸惑うばかり。
自分以外は普通に使っている。
でも自分には使えない言葉だ。
ここで、馴染めない、疎外感がある、
受け入れられていない気がする、
と感じる新人は、少なくないかもしれません。
こういう業界独特の言い方を
新人が「それらしく」使えるようになるまで、
ある程度の時間を要するでしょう。
逆に言うと、時間が経って、慣れていくと
気付けば自分も使っていたりするものです。
しかし、そこへ到達するまでに、
「この業界は自分には向いてないかも」と
新人が去ってしまうことも
ないわけではありません。
どのような集団でも、そこへ入ったとき、
言葉の壁のようなものを
感じることはあるでしょう。
しかし、この「言葉が分からない」と
「この業界に向いていない」は
同じではありません。
自分の適性を疑うには
まだ早いかもしれません。
選べる道を増やす、もう一つの見方を
★★★曽我部キキョウ★ほしよみ堂★★★

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