「もう俺の客じゃないのか?」永久指名制度の廃止で試される、ホストの本当の実力
「昨日まで俺を指名していたお客様が、今日から別のホストを指名するかもしれない」
もし、そんなことが起こったら、あなたはどう思うでしょうか。
腹が立つでしょうか。
裏切られたと感じるでしょうか。
それとも、自分の接客を振り返るでしょうか。
これまでのホストクラブでは、一度担当を決めたら原則として変更できない「永久指名制度」がありました。
しかし、その常識が変わり始めています。
今回はホストの立場から、永久指名制度の廃止が何を意味するのか、占い師としての視点も交えて考えてみたいと思います。
「俺のお客様」という言葉が通用しなくなる日
ホストクラブ業界では、永久指名制度を廃止する動きが出ています。
大阪のYGGDRASILL OSAKAも、永久指名制度の廃止と指名変更を可能にする旨を告知しています。
もちろん、すべてのホストクラブが同じ仕組みになったわけではありません。
しかし、一度担当になれば、お客様がずっと自分を指名し続けるという前提が崩れつつあります。
これまで、担当が決まっているお客様に対して、
「この子は俺のお客様だから」
「何年も指名してくれているから大丈夫」
「多少連絡を返さなくても離れないだろう」
そんな気持ちが生まれることはなかったでしょうか。
もちろん、すべてのホストがそうではありません。
一人ひとりのお客様を大切にし、真剣に仕事に取り組んでいる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
ただ、制度によって守られていた指名と、自分の魅力によって選ばれ続けていた指名は、必ずしも同じではないのです。
3年間指名してくれた女性が、突然担当を変えた
ここで、ひとつの場面を想像してみてください。
あるホストには、3年間通い続けてくれている女性がいました。
毎月欠かさず来店し、誕生日やイベントにも顔を出してくれる。
売上が厳しい月には、シャンパンを注文して応援してくれたこともありました。
ホストにとっては、ありがたい常連のお客様です。
ところがある日、女性は別のホストを指名しました。
理由を聞くと、こんな言葉が返ってきたのです。
「最近、私の話を聞いてくれなくなったから」
最初のころは、仕事の悩みや家族のこと、何でも話せた。
ところが最近は、売上やイベントの話ばかり。
LINEが来ても、
「今月いつ来られる?」
「イベント、応援してくれるよね?」
そんな話題が中心になっていた。
一方、新しく指名したホストは、何気ない会話を楽しんでくれた。
仕事で疲れていることにも気づいてくれた。
女性は言います。
「別に、嫌いになったわけじゃないんだよ」
「ただ、今はあの人と話しているほうが楽しいの」
このとき、ホストはどう受け止めるべきでしょうか。
※このエピソードは接客心理を考えるための架空の事例です。
「今まで使ってくれた金額」は、これからの指名を保証しない
ホストにとって、長年応援してくれたお客様は特別な存在でしょう。
何百万円も使ってくださったお客様なら、なおさらです。
だからこそ、
「こんなに長く一緒にいたのに」
「俺がここまで育ててきた関係なのに」
と思うこともあるかもしれません。
しかし、ここで忘れてはいけないことがあります。
お客様が過去に使ったお金は、これからも指名し続ける義務を生みません。
お客様が買っているのは、過去の関係ではなく、今の時間です。
今日の会話が楽しかったか。
自分の話を聞いてもらえたか。
また会いたいと思えたか。
そうした小さな満足の積み重ねが、次の来店につながります。
過去の売上実績はホスト自身の自信にはなっても、お客様を引き留める権利にはならないのです。
売れているホストほど、指名の意味を知っている
興味深いことに、ホスト業界のトッププレーヤーの中にも、単純な売上より「また会いたいと思ってもらえること」を重視する考え方があります。
冬月グループの2024年度表彰式では、指名実績を持つホストたちが、お客様に会いたいと思われる存在であることや、来店してくれた人への感謝について語っています。
売上を伸ばすことは、仕事として大切です。
数字を追いかけることも、プロとして当然でしょう。
しかし、お客様の満足を置き去りにして数字だけを追いかけると、長く続く関係は難しくなります。
一度指名されたことよりも、二度目、三度目と選ばれること。
そして何年たっても、会う価値があると思ってもらうこと。
永久指名制度がなくなっても指名が続くホストには、それだけの理由があるはずです。
指名替えをされたとき、絶対にしてはいけないこと
もし長年のお客様が別のホストを指名したら、傷つくかもしれません。
悔しい気持ちになることもあるでしょう。
しかし、その感情をお客様にぶつけてしまうのは避けたいところです。
「俺にあれだけ応援するって言ったのに」
「ほかの男に行くんだったら、もう知らない」
「俺がどれだけ頑張ってきたか分かってる?」
こうした言葉は、一時的にお客様を引き戻せるかもしれません。
でも、それは本当に選ばれたことになるのでしょうか。
罪悪感で戻ってきたお客様と、自分の意思で会いに来てくれたお客様。
同じ指名本数でも、その意味は違います。
お客様には、自由に選ぶ権利があります。
そしてホストには、選んでもらうために努力する機会があります。
指名替えは悔しくても、お客様を責める理由にはならない。
この姿勢が、これからますます大切になると思います。
占い師にも、同じことが起きている
実は、こうしたことは占い業界でも珍しくありません。
占いには、基本的に永久指名制度はありません。
お客様は自由に占い師を選べます。
今日タロットを受けた先生と、来月四柱推命を受ける先生が違っていても、何の問題もありません。
その中で、何度も指名される占い師がいます。
一方、初回は好評でも、なかなかリピーターにつながらない占い師もいます。
私は大阪梅田の占い館を運営する中で、こうした違いについて考える機会があります。
初めて来てくださったお客様。
二度目も指名してくださったお客様。
三度目まで来てくださったお客様。
しかし、四度目も来てくださるとは限りません。
なぜでしょうか。
占いの知識が不足しているからとは限りません。
初回と同じ説明を繰り返してしまった。
お客様の話より、自分の占術の説明が長くなった。
前回相談した内容を十分に踏まえられなかった。
あるいは、お客様自身の悩みが変わり、別の先生のほうが合うようになった。
理由はさまざまです。
ホストと占い師では仕事内容もサービスも違いますが、共通していることがあります。
お客様は「前回よかったから」だけでは、永遠に通い続けてくれないということです。
常連客ほど、新鮮な気持ちで接していますか?
新規のお客様には丁寧に接客する。
好みを聞く。
緊張していないか気遣う。
笑顔で話しかける。
では、長年通ってくれている常連のお客様にはどうでしょうか。
慣れてしまって、会話が雑になっていませんか。
「いつもの感じでいいよね」と決めつけていませんか。
以前はお客様の仕事の話を聞いていたのに、最近は自分の仕事の話ばかりしていませんか。
常連客になってくださったからこそ、気を許せる関係になるのは自然なことです。
しかし、気を許すことと、気遣いを忘れることは違います。
たとえば、3年間通ってくれている女性が転職したとします。
生活環境も収入も変わり、以前と同じ頻度では通えなくなった。
そんなとき、
「最近全然来ないね」
と責めるのか。
「新しい仕事はどう?無理してない?」
と気遣うのか。
その一言が、関係を大きく変えることもあるでしょう。
四柱推命で考える「選ばれ続ける人」
四柱推命では、人それぞれに生まれ持った性質や得意な人間関係の築き方があると考えます。
たとえば、通変星という考え方では、
食神には自然体の魅力や人を楽しませる性質。
傷官には繊細な感性や鋭い表現力。
正官には誠実さや責任感。
偏財には社交性や人とのつながりを広げる力。
といった象徴的な意味があります。
もちろん、実際の鑑定では命式全体を読みますので、通変星ひとつで性格や接客能力を決めることはできません。
ただ、ホストとして自分の魅力を考えるとき、こうした占術を自己理解のきっかけにすることはできるでしょう。
楽しい会話が得意な人。
静かに話を聞くことが得意な人。
安心感を与えられる人。
華やかで非日常的な時間を演出できる人。
すべてのホストが同じ接客をする必要はありません。
むしろ、自分ならではの魅力を磨くことが大切です。
そして、その魅力がお客様の求めているものと合致したとき、自然と指名につながっていくのではないでしょうか。
永久指名制度の廃止は、新人ホストにとってチャンスでもある
ここまで、常連客を持つホストの立場から考えてきました。
しかし、永久指名制度の廃止は、新人ホストや指名の少ないホストにとっても大きな意味があります。
これまでは、すでに担当が決まっているお客様にどれだけ気に入ってもらっても、担当変更が難しい店舗がありました。
ところが、指名を選び直せる仕組みなら、接客力によって新しいチャンスが生まれます。
ただし、そこで必要なのは、他人のお客様を奪うという発想ではないと思います。
お客様自身が選びたいと思える魅力をつくることです。
先輩よりも話を聞ける。
約束を守る。
相手の生活や気持ちを尊重する。
無理に高額な注文を求めない。
そうした当たり前に思えることが、大きな差になるかもしれません。
もちろん、指名変更をめぐって従業員同士のトラブルが増えないよう、店舗側にも明確なルールと公正な運営が必要でしょう。
自由競争になったからといって、何をしてもいいわけではありません。
お客様が戻ってきたとき、あなたはどう迎えますか?
最後に、もう一つ想像してみてください。
別のホストへ指名を変えた女性が、しばらくしてあなたに会いに来ました。
「やっぱり、あなたと話していると落ち着く」
そう言われたら、どうしますか。
「だから俺にしておけばよかったのに」
と得意げになるでしょうか。
それとも、
「また会えてうれしいよ」
と自然に迎えるでしょうか。
私は、後者のほうが素敵だと思います。
一度離れたお客様が戻ってくることもあれば、そのまま別のホストを選ぶこともあるでしょう。
戻ってこなかったとしても、それまでの関係に意味がなかったわけではありません。
人の気持ちは変わります。
人生の状況も変わります。
それを受け止められることも、接客のプロとしての大切な資質ではないでしょうか。
最後に|永久指名制度がなくなって、あなたは何で勝負しますか?
永久指名制度がなくなることで、不安を感じるホストはいると思います。
これまでの常連客を失うかもしれない。
毎月の売上が安定しなくなるかもしれない。
後輩に指名を奪われるかもしれない。
その不安は理解できます。
ただ、反対に考えることもできます。
これまで以上に、お客様が自分の意思で指名してくれるようになる。
制度に守られた関係ではなく、お互いの意思で続く関係になる。
そこには、仕事のやりがいもあるのではないでしょうか。
大阪梅田で占い館を運営している私自身も、所属する占い師たちに、何度でも選ばれる存在になってほしいと思っています。
お客様が別の先生に相談しても、責める必要はありません。
また相談したいと思ってくださったときに、以前よりも成長した姿でお迎えできればいい。
ホストも占い師も、接客の形は違っても、信頼を積み重ねる仕事です。
そして最後に、ホストの皆さんへ、ひとつ問いかけたいと思います。
「この子は俺の客だから」と言える時代が終わったとき、あなたには何が残りますか?
顔でしょうか。
話術でしょうか。
お酒の強さでしょうか。
華やかな実績でしょうか。
それとも、お客様からの信頼でしょうか。
永久指名制度がなくなっても、永久に選ばれたいと思えるホストであってほしい。
私はそう思います。
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