曽我部 キキョウ
「赤ちゃんを電車に乗せるな」という前に、考えたいこと
かつて、公共交通機関が
今ほど発達しておらず、
インターネットもなく、
移動や情報の量が限られていたころ。
公共の場を利用するルールは
明文化されていなくても
その地域で共有されていました。
いわゆる不文律が機能していた時代です。
ところがこの不文律というものは
簡単に揺らぎ、機能しにくくなります。
社会の変化、人々の意識の変化。
そういったもので、解釈の仕方が変わります。
全員が同じ方向へ揺れるのならともかく、
個人個人が勝手な解釈をしだすとどうでしょう。
他人を攻撃する道具になりかねません。
自分はルールを守っているのに、
あの人は何だ。
私の権利が脅かされている。
これらの感情が顕著に表れるものの一つが
「そんなことで!?」と思ってしまう苦情です。
電車内で乳幼児が泣き叫んだら。
うるさい。乳幼児を連れて電車に乗るな。
緊急車両が止まっていたら。
ライトが眩しいから何とかしろ。
苦情を言っている人々は
自分は正しく権利を主張しているつもりです。
しかし、そのルールを共有していない人からすると
なんと心の狭い人だ、
そこに苦情を言ってどうする、となります。
もちろん、苦情に至るまでには
様々な要因があります。
自分自身のストレスが
容量いっぱいになっていたら、
他者を慮る余裕などないでしょう。
自分には快適に過ごす権利があると捉えれば
それを侵害する行為を許せなくもなるでしょう。
被害者意識にとらわれることも
あるかもしれません。
また、苦情申し立てという行為への
ハードルが低くなったことも
考慮すべきでしょう。
匿名性が確保された状態で
簡単に不満を告げることができます。
それがメディアやSNSに登場することで
「言っていいのだ」と
認識が変わることもあるでしょう。
しかし、不文律が崩壊して
全てが明文化された世界というものを
想像してみてください。
禁止事項の数はいくつになるでしょう。
誰かがその規律を守らなかったとき、
あなたはどう思うでしょう。
たとえ主観的に、ある人の行為が
公共の場でのこととして
許容できる範囲を超えていたとしても。
苦情を申し立てる前に、
少し待ってみませんか。
これは、不快なことに
我慢をしろという話ではありません。
その不快さを、場を管理する
行政などのサービスへの攻撃に変える前に。
どうしてほしいのか、
その結果どうなるかを考えてから
愚痴に近い世間話で終わらせるか、
意見として届けるのかを決めても
遅くないのではありませんか。
選べる道を増やす、もう一つの見方を
★★★曽我部キキョウ★ほしよみ堂★★★

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