あぐり
上司の悪口を言いながら探りを入れる同僚に感じた違和感― 山火賁五爻が教える「品位」の守り方
会社に属しながら、上司の悪口を言い、その上司が開催する研修の内容を探ってくる同僚に不快感を覚えています。私の感覚はどこか間違っているのでしょうか?というご相談。易を立てたところ、山火賁(さんかひ)五爻
その違和感は、決して的外れなものではありません。
むしろ、とても繊細で誠実な感受性が働いている証だと言えるでしょう。
人は往々にして、「場の空気」や「集団の常識」によって、自分の内なる感覚を見失いがちです。けれど、あなたの中には確かに、「何かが歪んでいる」という静かな声が響いている。その声は軽んじてはならないものです。
ここで現れた卦、山火賁(さんかひ)五爻。
この卦は「飾る」「美しく整える」という意味を持ちます。しかし、その本質は、単なる外面の装飾ではなく、「内面の真実を損なわずに、どう外に現すか」という問いにあります。
五爻は、この卦の中心に位置し、最も品位と節度が求められる場所です。
この爻が伝えているのは――
「飾りすぎるな。だが、粗雑にもなるな。」
という、非常に繊細な均衡です。
あなたの同僚の振る舞いは、まさにこのバランスを崩しています。
上司の陰口を言いながら、その情報を探るという態度は、外側だけを取り繕い、内面の誠実さを欠いた「過度の装飾」にあたります。そこには真の意味での「賁」はありません。
だからこそ、あなたは不快感を覚えるのです。
それは倫理や美意識の問題であり、「正しい・間違い」という単純な二元論ではなく、もっと深い次元――人としての在り方に関わる感覚です。
では、この卦はあなたにどう行動せよと示しているのでしょうか。
答えは明確です。
「巻き込まれず、自らの品位を守れ」ということ。
同僚を正そうとしたり、対立したりする必要はありません。
なぜなら五爻の徳は、「上から整える」ことにあるからです。
つまり、自分自身が静かに整っていることで、周囲に影響を与える在り方です。
山火賁の「山」は動かず、ただそこに在るもの。
「火」は内に灯る明かり。
あなたは、山のように動じず、
火のように内面の明晰さを保てばよいのです。
同僚の言動に対して、心を揺らし続ける必要はありません。
その人は、その人の在り方の中で生きています。
しかし、あなたはあなたの美しさを選ぶことができる。
むしろ、この出来事はあなたに問いかけています。
――「あなたは、どのような人間で在りたいのか」と。
外側の言葉に流される人か。
それとも、内なる誠に従う人か。
山火賁五爻は、こう静かに告げています。
「白きをもって飾るがごとし。咎なし。」
過度な技巧も、策略もいらない。
ただ、まっすぐであること。
ただ、清らかであること。
そのあり方こそが、最も美しい「賁」なのです。
あなたの感覚は、間違っていません。
それは、あなたの内にある“品位”が、静かに目を覚ましている証なのです。






