曽我部 キキョウ
天ぷらには理由がある ~人は結果しか見ていない
今日の晩ご飯、何にしよう。
お母さんがよく口にする言葉です。
そして子どもは元気よく
食べたいものを教えます。
「ハンバーグ食べたい!」
はいはい、とお母さんは頷いたはずなのに
食卓にはなぜか天ぷらが。
だったら、どうして聞いたんだよ。
子ども心に、そう思った。
そんな記憶のある人も多いでしょう。
けれども、自分が作る側に変わると
確かに子どもの言うことばかり
聞いていられないことが分かります。
献立を決めるためには、
ものすごく複雑な思考が必要だからです。
考えなければならないことを
いくつか挙げてみましょう。
家族の体調。
冷蔵庫の在庫。
予算。
スーパーの特売品。
調理時間。
翌日の弁当。
栄養バランス。
そして季節に旬の食材。
まだまだあるはずです。
「何にしよう」からの短い時間で
これらを複合的に考えなくてはなりません。
栄養学、経済、時間管理に家族観察、
そして経験則と、
素人の持てる範囲の知識を総動員です。
それでも、子どもにとって
見えるのは完成品の天ぷらだけ。
つまり、ハンバーグじゃない、という
結果しか分からないのです。
この図式は、
実は献立に限ったことではありません。
仕事に目を向けてみましょう。
立場はどうあれ、仕事上では
決定しなくてはならないことが
たくさんあります。
決断の早い人に多いのが
頭の中で膨大なシミュレーションを
しているパターンです。
この資料を取引先に見せたらどう反応するか。
再作成を依頼すると、部下はどうするか。
などが、高速で頭の中を駆け巡っています。
将棋でプロ棋士が何十手も先を
読んでいるのに
似ているかもしれません。
けれども、献立を決めるお母さん同様、
周りからは結果だけが見えます。
思考の過程は見えないので、
最終的な結果で判断するのです。
人は、目に見えるものしか評価できません。
料理なら、食卓に並んだ一皿であり、
仕事なら、会議で出た結論。
けれども、その結果の裏には
見えない思考の積み重ねがあります。
お母さんの「晩ご飯、何にしよう」の中にも
見ることはできない、
たくさんの思考が隠れていたのです。
私たちは、完成した答えを見ていますが
本当に価値があるのは
その答えにたどり着くまでの
思考なのかもしれません。
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