不登校の「犯人」を探しても、子どもは学校へ戻れない――親か学校かを責める前に考えたいこと
「育て方が悪かったのでは」と、自分を責める親。
「学校の対応が悪い」と、怒りをぶつける家族。
けれど、
不登校は誰か一人のせいで起こるほど単純ではありません。
犯人探しをしている間にも、
子どもの心は「わかってほしい」と叫んでいます。
必要なのは原因を決めつけることではなく、
その子が安心できる場所を取り戻すことです。
「学校へ行けない」には、いくつもの理由が重なっている
朝になるとお腹が痛くなる。
制服に着替えようとすると涙が出る。
玄関までは行けても、
そこから一歩も動けない。
そんな子どもの姿を見ると、
親は焦ります。
「いじめられているの?」
「先生と何かあった?」
「家で甘やかしすぎた?」と、
原因を突き止めたくなるでしょう。
学校側も、
欠席が続けば家庭での生活や親子関係を確認しようとします。
その言葉を聞いた親が、
「うちの育て方を疑っているのですか」と傷つくこともあります。
けれど、
不登校の理由は一つとは限りません。
友人関係、
勉強への不安、
先生との相性、
集団生活の疲れ、
音や光への敏感さ、
失敗への恐怖、
家庭での出来事、
自分でも説明できない心身の不調。
小さな負担が何層にも重なり、
ある日、
学校へ向かう力が残っていなくなることがあります。
最後のきっかけが学校での出来事だったとしても、
それだけがすべての原因とは限らないのです。
親を責めても、学校を責めても、子どもは置き去りになる
もちろん、
いじめや不適切な指導が疑われる場合は、
事実を確認し、
子どもの安全を守らなければなりません。
学校の対応に問題があれば、
改善を求めることも必要です。
しかし、
「親が悪い」「学校が悪い」という二択だけで話を進めると、
一番苦しんでいる子どもの気持ちが置き去りになります。
大人同士が責任を押しつけ合っている姿を見て、
子どもが「自分が学校へ行かないから、
みんなが争っている」と
思ってしまうこともあります。
もともと苦しんでいる子どもに、
さらに「家族を困らせている」
という罪悪感まで背負わせてしまうのです。
知りたいのは、
誰が悪いかではありません。
「この子は、何に疲れているのか」
「何を怖いと感じているのか」
「どこなら安心して過ごせるのか」
まず考えたいのは、この三つです。
「どうして行けないの?」より「今、何がつらい?」
親としては、理由を聞きたくなるものです。
しかし、
子ども自身も理由を言葉にできないことがあります。
何度も「どうして?」と聞かれるうちに追い詰められ、
親との会話まで避けるようになる場合もあります。
そんなときは、
答えを急がせなくても大丈夫です。
「今は話せなくてもいいよ」
「学校へ行けないことより、
あなたが苦しんでいることが心配」
「一緒に過ごしやすい方法を考えよう」
このような言葉は、
すぐに登校へつながらなくても、
子どもの心に安心をつくります。
「学校へ戻すこと」だけをゴールにしないことも大切です。
保健室登校や別室登校、
教育支援センター、
フリースクール、
オンライン学習など、
学び方や人とのつながり方は一つではありません。
今日できることが、
朝起きることやご飯を食べることだけの日もあります。
それでも、その一日は決して無駄ではありません。
親も一人で抱え込まなくていい
子どもが不登校になると、
親は「私が何とかしなければ」と頑張りすぎます。
周囲からの何気ない言葉に傷つき、
将来への不安で眠れなくなることもあるでしょう。
夫婦や家族の考えが合わず、
家庭の中で孤立してしまう人もいます。
けれど、
親が限界まで我慢する必要はありません。
学校の相談担当者、
スクールカウンセラー、
自治体の相談窓口、
医療機関など、
家庭の外に頼れる場所をつくってください。
親自身が安心して気持ちを話せる場所を持つことも、
子どもを支える力になります。
相談することは、
親としての失敗ではありません。
大切な子どもを守るために、
支えてくれる人を増やす行動です。
必要なのは「犯人」ではなく「味方」
不登校は、
親だけの責任でも、
学校だけの責任でもありません。
だからこそ、
大人たちが犯人探しをやめ、
「この子のために何ができるか」を
一緒に考えることが必要です。
すぐに答えが出なくても構いません。
昨日より少し眠れた。
家族と一緒に食事ができた。
好きなことを話してくれた。
その小さな変化も、
心が回復へ向かう大切な一歩です。
子どもが本当に求めているのは、
正しい原因を言い当てる人ではないのかもしれません。
自分を責めず、
急かさず、
苦しい時間を一緒に歩いてくれる味方です。
「学校へ行けるあなた」だけではなく、
「今、学校へ行けないあなた」も大切に思っている。
その気持ちが伝わる場所から、
子どもの次の一歩は始まります。
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